【未亜 side】



―放課後。


私はやっと自分の部屋に辿り着いた。



「はぁ…」




もう疲れたよ…。だって翔くん…ずっと私を振り回すんだもん…。
そりゃあ知り合いが私しかいないのは分かってるし助けになってあげたいとは思うんだけど…。




そう思いながらリビングの扉を開ける―。




「あ…未亜ちゃん。ここ座って?」


すると既に玲央くんがいて自身が座るソファを軽く叩きながらそう言った。



「へっ…うん…」




あれ…?いつもと雰囲気…違う?ような…。




そうは思ったけれど私は彼の指示に従い隣に座る。



「あのさー…あいつに何もされてない?」



「あいつ…?」


私は玲央くんが言う人物が誰か分からず首を傾げた。



「…ほんとに分かんない?」



「……うん…」


確かめるように言われたけれど…誰のことだか皆目見当もつかない。




ほんとに誰…?玲央くんは誰のことを言ってるの…?




「……。ほらっ転入してきた…」




てんにゅう…?




「…あぁ!翔くん?」


玲央くんのヒントでようやく誰のことだか分かった。



「そう、そいつ」



「うん…何もされてないよ?」




何だろう…?まだ機嫌悪い?のかなぁ…。




「そっか、ならいいんだけど。でももし何かされたら…絶対、俺に言ってよ?」



「うん…?でも何かってなに…?」



「……。はぁ~…」


真剣な目をして言う彼に“何か”の意味が分からずそう尋ねる。
そんな私の反応に…玲央くんは呆れたようにため息をついた。



「え…!?何でため息なんてつくの!?私いま、変なこと言っちゃった!?」


玲央くんの様子を見て私は慌てる。



「…未亜ちゃーん、もう忘れちゃったの?朝あったよね?そうゆうの。」



「朝…――?」


玲央くんにそう言われ朝の出来事を思い出す―。