【玲央 side】
今は朝のHR中で…
「…アメリカから転校してきました、三波 翔です。宜しくお願いします」
そう言って頭を下げる…ついさっき出会ったあいつが教壇に立っている。
つーかマジで同じクラスなのかよ…。
事前に本人から同じクラスだと知らされてはいたけれど…
心のどこかでは違うクラスであることを密かに祈っていた。
だけどそれは…叶わぬ願いだったのだと思い知る。
パチパチパチ…ッ
そんな中、“やつ”を歓迎する拍手の音の聞こえてくる。
「…っ」
いらねぇっつうの、そんなもん…っ!!
「じゃあ三波の席は…一番後ろ、鈴村の隣りな。」
はぁ…っ!?
担任の発した言葉に思わず、そう言ってしまいそうになる。
だけど俺がそんな失態をさらすなんてことは有り得ない。
だから、ギリギリの所で“暴言”を封じ込める。
「…はい。」
すると、あいつ…三波は小さく返事をしてから自分の席と言われた所まで移動していく。
今の俺の席は未亜ちゃんの席とは離れている。
彼女の列の隣り列ではあるけど…3席ぐらい前。
「…っ」
あいつが移動していく様子を目で追って未亜ちゃんと喋っている姿までもを見てしまう。
やっぱ無理だわ…。あんな風に二人で喋ってるとこ見るのは。
っていうか…朝のこともあるから余計に心配なんだけど…。
「はぁ~…」
俺はうな垂れ誰にも気づかれないようため息を零した。
ダメだ…いくら考えたって同じなんだ…。
言わないと分かってもらえない。
言葉にしないと何も伝わらない…。
特に天然の未亜ちゃんには…。
「……」
“未亜ちゃんは俺のもの”だって…自覚させないとね―?
