「未亜ちゃんは優しいねー…?小嶋と違って。」
「えっ…ちょっ…玲央くんっ!」
また夏凛ちゃんが叩かないように夏凛ちゃんの腕を抑えながら言った私。
「今日は…未亜ちゃんを立てて許す。だけど…次は知らないからーっっ!!未亜ちゃん、もう行こっ!!」
「え…っ!?」
そう言った夏凛ちゃんに腕を引っ張られながら…
バタン…ッ
夏凛ちゃんの部屋に入った。
「はぁ~。もう何なの、あいつ~っっ」
「夏凛ちゃん、落ち着いて。ねっ?」
「未亜ちゃん……うん、分かった」
そう言ったあとリビングに移動し始めた。
「でもすごいね。相手は学校の王子様なのに」
「そう?私にとっては普通だけどなぁ」
そう言いながらカーペットの上に座る夏凛ちゃん。
「うん、すごいよー。だけど…もうずっとあんな感じなの?」
私もそう言いながら夏凛ちゃんの隣に座った。
「ん~…どうだったっけ…?最初からじゃなくて……途中からあんな感じかな?」
夏凛ちゃんは何かを思い出しながらそう言った。
「へぇ~…そうなんだ。」
「うん。……何?里原くん、気になるの?」
「えっ?それは分かんない…だって私…恋したことないんだもん…」
「えっ!?そうなのー?」
私の発言に夏凛ちゃんは驚いていた。
「うん…ッ」
「じゃあさ、里原くん見て…どう思った?」
「んーと……
最初は…“軽い人なのかな?”とか思っちゃったけど、
あの笑顔見て…“この顔は好きだなぁ~”って思った」
「ふ~ん……そっかっ」
夏凛ちゃんは笑ってそう言ってくれた。
「うん…」
この時は…本当に何も分からなかった―。
“恋”をすること…
“恋”をしたらどうなるのかってこと…
それもこれも全て教えてくれたのは…“あの彼”だったんだ――。