ー…放課後、私は禁断の果実に手を伸ばす。


「はぁっはぁ…もっダメ」

「んっいいよ鈴(すず)、イッて?」


耳元で甘く、先輩が囁く。

「先輩っ時東先輩っ…あぁぁっ」


私は今日も、先輩の腕の中で絶頂を向かえた。







「鈴、…ごめんな」


先輩ははだけた制服のワイシャツを整わせながら、そう言った。


まただ。


私は瞬間的にそう思った。

先輩はよくそんな顔をする。


悲しいような、申し訳なさそうなような…そんな顔。

「いいんです、先輩。これから美咲先輩とデートなんですよね」


私はわざとおどけたように笑って見せた。


内心では違うことを思いながら。


「…ごめんな」


先輩は私の頭をポンと軽く撫でると、もう一度小さく謝った。


そして静かに屋上から出ていった。