スタートライン~私と先生と彼~【完結】

「せんせ〜!」

と不意打ちに背中を叩いたのは、原田だった。

両手いっぱいに持っていたチョコは、叩かれた衝撃で廊下にばらまいてしまった。


「せんせ〜。ごめんなさい」


チョコを拾うのを手伝ってくれながら、原田は謝っていたが、その顔は笑顔で、全く反省している様子ではなかった。


「お前な、いきなり叩くなよ!」


原田とこうやって話せるのも残り僅かだと思うと寂しくなる。


「先生がこんなにいっぱい持ってるから。大きな紙袋とか用意しなかったんですか?」


俺に拾ったチョコを渡しながら、彼女は嫌味っぽく言ったが、それでさえ俺には心地よかった。


「俺、こんなにもらったことないし」

これは本当。


「ふ〜ん。じゃぁ、彼女だけなんですね」


原田は頷きながらさらに嫌味っぽく俺に言い放った。


「まぁね、でも去年別れたし」


なんで彼女と別れたことを言ったのかは、自分でもわからなかった。

でも、言いたかったんだろうなぁ・・・。


「ふぅん」


何だその興味なさそうな返事。

まぁ、しかたないよな・・・。
全部拾い終わり、希望も込めて「あれ?原田からは??」と聞いてみた。

できるだけさりげなく・・・・・・

冗談ぽく。


「せんせ〜、こんなにもらってまだ欲しいんですか??糖尿病になりますよ。」



笑いながら走って行った。