スタートライン~私と先生と彼~【完結】

俺の記念すべき初授業は、新学期早々に行われた実力テストの解説からだった。

このテストは、問題を作った高橋先生から、

『今回は難しい目に作ったから、半分取れたら上出来。
まぁ、お前が現役の時なら8割くらいは取れたかもな』

と言われてある。


「まぁ、このテストは半分取れたら上出来やから、
悪いからといって落ち込まないようにな」

俺もフォローはしたが答案を返すとみんなの顔が曇る。


200点満点中、


32点、82点、56点・・・・・よくても110点。


そりゃ落ち込むよな・・・・。


その中で166点を取る生徒がいた。



原田沙知・・・・・。



あの子だ・・・・・・。




俺は答案を返しながら、彼女の表情を見たが、学年トップの点数を目の前にしても、顔色を変えない彼女に少しがっかりした。




・・・せっかく笑顔を見れると思ったのになぁ。



おっと、俺は何を考えてるんや・・・。



彼女のことを初めて見た日から、俺の中に彼女の笑顔が居座り始めていたことに、気付かないフリをしようとしていた。