スタートライン~私と先生と彼~【完結】


「先生、遅れてすみません」

出席を半分ほど取ったあたりで、慌てて入って来たのは、女子生徒ちだった。

まじで・・・?

俺がそう思っていたのと同時に、教室中の男どもが溜息にも似た声を出し、目は女の子達にくぎづけになっていた。

「うわぁ〜」

目の前の女の子たちは浴衣姿だった。

その中でも原田の浴衣姿は・・・。
 
俺は生唾をごくりと飲み込んで、見入ってしまった。

濃紺に蝶の華やかな絵柄の浴衣は色白な彼女によく似合っていて、髪もアップにしてなんとも色っぽい・・・。

「は、早く席に着けよ〜」

 
動揺しているのを隠すように言った。

10人ほどしかいない女子生徒は、みんな浴衣を着ている。

それだけでむさ苦しい理系クラスが華やかになる。


それにしても・・・きれいすぎるだろ!

目線が自然と原田へと行く。

目が一瞬合うと微笑み返してくれる。

その笑顔、危険過ぎる。

俺以外の前でそんな笑顔を見せないでくれ!といっても、俺は彼氏でもないからそんなことを言う権利なんてないけど・・・。