スタートライン~私と先生と彼~【完結】


「せんせ〜、どう??」

「馬子にも衣装ってとこかな?」

俺は照れ隠しでそんなことしか言えなかった。

「せんせい、ひど〜い!」

「ははっ、冗談、冗談。よく似合ってるよ」

原田の方を一瞬見ると、彼女は俺らのやり取りを笑っていた。

そして、俺の方を見ると、ニコッと笑みを零した。

「先生、この衣装、自分たちで作ったんやで。」

他の女子生徒が話しかけてくるが、集中して聞いていなかった。

お願いだから、そんなかわいい顔で見つめないでくれ。

勘違いしてしまう・・・俺だって男なんだから。


「まじで?めちゃくちゃうまく作れてるやん」

とりあえず、褒める。


「でしょ!これ、沙知がデザインしたんやで!」

原田の方に目をやると、恥ずかしそうに「言わなくていのに」と隣の女子生徒に言っている。その姿が、俺の中の加虐心をくすぐる。

「へ〜すごいやん。」

原田の頭をポンと置き、髪をクシャっと撫でた。

そうすると、少し赤くなった顔をさらに赤くし、俯いた。この初々しい反応が男心を揺らす。

そして原田は腕を引っ張られるようにして、準備をしに行った。その姿を見つめていると、後ろからただならぬ視線を感じた。

振り返るのは恐ろしかったが、恐る恐る振り返ると・・・。