「副担任の斎藤和寿先生。斎藤先生は、君たちとも歳が近いし、
いろいろ話しやすいやろうから、相談にも乗ってもらうといい」
どうもむず痒い紹介だ。
高校3年の時の俺の担任が川田、いや川田先生だった。
白髪混じりの40代半ばのどこにでもいそうなおっさん。
英語が担当で、授業はなかなかおもしろく、俺は好きだった。
「斎藤和寿です。よろしくお願いします」
背筋を伸ばし、堂々と自己紹介をしながら、教室全体を見渡すと、
一人の女の子と目が合い離すことができなかった。
色が白くて、目がくりっとしていて、ストレートの髪がきれいな子。
笑った顔がかわいい・・・。
なんと言っても、その目力は強烈なものだった。
どんな誘惑にも負けなさそうな強い意志が感じられ、自然と惹きつけられた。
いや・・・理系クラスなだけあって、女子生徒は40人中10人だから、目についただけだ、きっと。
心の中で、そんな言い訳じみたことを考えていた。

