スタートライン~私と先生と彼~【完結】


「せんせ〜、優しいですね。みんなに好かれるはずですね。ありがとうございます」

ニッコリ笑う顔にくぎづけになってしまった.

きっと、俺の心臓は今までで1番早く動いていたに違いない。

「いや・・・よかった」

激しく鼓動する心臓の動きがばれないようにできるだけ冷静に答えた。


「せんせ〜最近、練習見に来てくれてないでしょ。
もうすぐ、本番だからちゃんと見ておいくださいね!」


そう言うと、すぐに原田は走って行ってしまった。

そうだ。もうすぐ体育祭だ。最近、難問を抱えていたから、すっかり忘れていた。俺は、遠ざかる原田の後ろ姿をじっと見つめていた。



ところで、

『みんなに好かれるはずだよ』

の『みんな』に君は含まれているのか?


そして、君が好きなのは誰なのか?


原田の後ろ姿に小さな声で投げ掛けるが、聞こえるはずもない。