スタートライン~私と先生と彼~【完結】

その日の放課後、誰もいない廊下をぼんやりしながら歩いていたら、原田が前からやってきた。

彼女は俺と目が合っても嫌な顔をせず、むしろ笑顔になっているような気がした。


・・・とりあえず謝らないとな。


「さようなら」

「原田!」

軽く頭を下げてすれ違おうとする原田をを呼び止めた。

「はい!」

大きな目をさらに大きくして振り返る。その仕草にまた胸が高鳴る。


「原田、この前はごめんな。場違いな事を言ってしまって」

原田は、少し下を向いて、フフフと笑った。

「せんせ〜、そんなことを気にしてたんですか?」

何が起きたのかがわからなかった。なんで、笑ってる?

「お前、泣いてたじゃないか・・・」

泣いていた彼女の姿を思い出しながら声に出した。

「あっ、あれ、コンタクトにゴミが入って泣いてたんですよ〜」

「そ、そうだったのか・・・てっきり俺が泣かせたのかと思ったから」


彼女の言葉と表情に一安心した。