スタートライン~私と先生と彼~【完結】


授業中、ボーッと外を眺めていたら、注意すべきかもしれないが、俺が原田のことを見ているのが、ばれてしまうのではないかと思ってしまって、できなかった。 

俺は原田の横を通り過ぎ、隣の列の寝ている男子生徒をたたき起こした。


「起きろ!今、授業中だぞ!」
 

まだ原田は外を向いている。

君の心の中には誰がいるんだ?
 

俺はなぜ、君にこんなにまで引き付けられているんだろう・・・。

確かに君は美しい。

でも生徒なんだ。生徒に好意を持つことなんて考えてもみなかったし、そんな欲を抑える自信もあった。


なのになぜ?
 

君の真っすぐな眼差しを見ると、教師である自分が壊れていくような気がしてしまう。
 

どうすることもできない感情は、どこに持って行けばいいのだろう?自問自答しながら、過ごす毎日は苦しいものとなっていた。