『もし俺でよかったら、力になるけど・・・・』
そんなことで許してくれるとは思わなかったが、助けてあげたいと思ったのは本心だったので言ってみると、彼女は喜んでくれた。
これが、俺が恵美の家庭教師になったきっかけ。
俺と恵美は毎日一緒に勉強した。
俺は彼女と過ごすのが楽しいと感じていた。
それも今思えば、彼女に勉強を教える行為が楽しかっただけかもしれない。
俺が家庭教師をするようになって、恵美の成績は見違えるように上がり、学年順位も100番以内位に入るようになった。
恵美もまた、俺に憧れという感情を抱いていたのではないだろうか・・・・・。
もちろん大学に入ると、勉強を教えるなんてことは必要なくなる。
これが、物足りないと感じた原因かもしれない。それに気付いたのが、教師になり、他人に勉強を教えるようになってからだ。

