「えっ!ちょっとまって!お兄ちゃんの彼女って原田先輩やったの?」
私と隆の頭の上には『???』が浮かんでいた。
「大慶高校の原田先輩っていったら、うちの高校でも有名やったんやで!」
えっ?有名って何??
「容姿端麗、成績優秀、スタイル抜群、しかも性格もいいって、みんなの憧れやったんやで!といっても、私は会ったことなくて、話を聞いていただけなんやけど
」
マシンガンのように話す涼ちゃんは、私にとってすごく恥ずかしいことばかり口にしている。
恥ずかしくて、穴でもあったら入りたい。
「私の友達からもね、お兄ちゃんが原田先輩と付き合ってるとか聞いてたんやけど、そんな美人と付き合うなんてありえへんとか思ってたんよ。ぜーったいに人違いって言ってたんよ!」
興奮気味にどんどん話してくれる。
「あーほんまに嬉しい!」
涼ちゃんは胸の前で手を組み、まるでお祈りをしているかのように歓喜の声をあげた。
「そういえば、お兄ちゃん、去年遊びに行った時には彼女いないって言ってたやん」
「あ、あぁ・・・」
涼ちゃんが遊びに来たことあるんや・・・。
聞いたことなかったなぁ。
まぁ、付き合ってなかった時やしね。
「じゃあ、高校の時から追い掛けてたん?」
隆の顔が一瞬にして赤くなる。
「涼!ちょっと、黙れ!」
「お兄ちゃん、図星やね!しかたないなぁ。今日はこれくらいで勘弁してあげるわ。そういえば、あの時のケーキおいしかったのに、買って来てくれへんかったん?」
「うるさいなぁ。催促するなよ。もう、さっちゃんが母さんに渡してるよ」
「原田先輩、ありがとうございます!」
「現金な奴め。言っておくけど、これはさっちゃんがバイト先で無理に作ってもらったんやからな!」
不貞腐れながら、隆は涼ちゃんに言うと、再び涼ちゃんのテンションが上がるのがわかった。
「えっ、原田先輩、あのお店でバイトしてるんですか?」
涼ちゃんは、振り返り驚いた顔で私を見た。
「うん。今日のは、ケーキじゃないんやけど」
今日はケーキではなく、店長が特別にマドレーヌを焼いてくれた。
それより、涼ちゃんは、うちの店のケーキ食べたことあるんやぁ・・・。
「うわぁ!お母さん!おいしそうやで!」
「ほんまやね。あのケーキもおいしかったしね。これもおいしそう」
二人の喜ぶ姿を見ていると、あることを思い出した。
・・・・・・!!
あっ、隆が前に、ケーキを3個買って帰ったのって・・・お母さんと涼ちゃんと隆の分???
なんや。あの時の嫉妬は、無駄やったんやね。
そっかぁ・・・私、あの時から、隆のことが好きだったのかもしれないなぁ・・・・。
私は仲のよい親子の姿を見て、そう思った。

