「こんにちは」
隆の声だ。
「沙知、隆くんが来てくれてるわよ」
「はぁい」
玄関まで行くと、昨日とは違い普段着の隆がいた。
「沙知、粗相のないようにね」
お母さんは笑顔で送り出してくれたが、やはり少し心配そうだった。
「はい」
「さっちゃん、かわいいよ。似合ってる」
私は薄いピンクのワンピースを着ている。
着慣れないから、余計に不安になる。
家を出ると、コートを来ていても、寒さが紛れないくらいの風が吹き付けていて、私の緊張で強張った体は、さらに強張ってしまった。
電車に乗っている間も、隆と何を話したかも覚えてしないくらい緊張していたが、かろうじて覚えているのが、隆が優しく手を握ってくれていたこと。
そして、隆の実家に到着した。

