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「原田さん、今日、食事でもどう?」
バイト終わり、中野さんが相変わらずのように誘ってくる。
どんなに毎日断っても誘ってくるから、いい加減、嫌気がさしてきた。
でもバイトも続けたいから、下手なことは言えなかった。
「すみません。彼氏と待ち合わせしてるんで」
わざと『彼氏』の部分を強調した。中野さんは驚いた顔をしていた。
えっ?知らなかった?
私たち、1年付き合ってるんですけど・・・?
「彼氏って・・・?」
目を見開いたまま動くことが出来ないのか、それ以上何も言わなかったので、私が声を出した。
「彼氏いるんですけど・・・?」
話さなかったかな?
「あの・・・前に来た男?」
あぁ、そう言えば来たな・・・。
「はい。じゃあ、失礼します」
私は驚きを隠せないといった中野さんを置いて、隆の元へ急いだ。
あの人、ほんまに知らなかったんかな?なんか、間抜けな人やな・・・。
この時は、そうとしか思っていなかった。

