バイトを始めて1ヶ月。
仕事にも慣れて来た頃に、隆がやってきた。
「制服似合ってるね」
隆はニッコリ笑って、言ってくれた。隆は腰をかがめて、ケーキを吟味して3個買って帰った。
自分で食べるのかな?
それとも・・・他の誰かと?
そんな事は聞けないまま、隆は帰ってしまった。
聞いたら、自分が傷つきそうで、聞くことができなかった。
その日の仕事が終わった時、中野さんが食事に誘ってくれた。
加奈子は休みだったので、二人で。
連れて来てくれたのは、お洒落なレストラン。
注文する仕草一つとっても、柔らかな雰囲気に包まれる。
「今日、来てたの彼氏?」
テーブルの上に出した手を組み、首を傾げて私の反応を見るように、中野さんは聞いて来た。
あっ、隆のことか・・・。
「いえ、違います」
私は中野さんの目を見て否定したが、なんだか胸がチクッと痛んだ。
「そっかぁ。よかった」
中野さんは、一瞬にして笑顔になり、前のめりだった体を背もたれに付けた。
いつもの大人の雰囲気とは違った少年の様な顔だった。
安心したような表情になったかと思ったらすぐに、体を乗り出してきた。
「じゃあ、彼氏は?」
「いません」
続けて聞いてくる勢いに負けて、即答した。
「じゃあ、僕が立候補していいかな?」
「へ?」
一瞬、何を言われたのかが理解できずに、間抜けな声しか出なかった。
「初めて見た時から好きだった」
えっ?
告白?
・・・・・・どうしたらいい?
何て言ったらいい?
私の頭に浮かんで来たのは・・・先生。
そして隆だった。

