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センター試験当日、寒さに震えながら、隣のクラスの杏子(キョウコ)と一緒に会場まで行った。
というのも、理香も奈緒も進路が決まっているから、センター試験を受けるのは私だけ。
会場にいたのは・・・数人の先生たち。
その中で一番に目に入ったのは、もちろん斎藤先生。
先生は寒さに身を縮めながらも、いつもの笑顔で立っていた。
話し掛けたのは私ではなく杏子。私は話し掛ける勇気がでなかった。
「先生、おはようございます」
杏子が普通に話し掛けているのが羨ましく思いながら、私は隣で黙って、先生の表情を見ていた。
「おはよう。早いな」
爽やかに挨拶をする先生は、私にも視線を向けてくれた。
ただそれだけで、体の中心から熱くなってくるのがわかる。
「先生も早いですね」
「お前ら俺が教師って忘れてないか?」
「忘れてた」
杏子の生意気な口にも、笑顔を絶やさずに返してくれたことによって、私の緊張はほぐれた。
「お前らな!」
先生と私たちの笑い声は、寒い寒い冬の空に吸い込まれていった。
先生、ありがとう。
「お前ら頑張って来いよ!」
最後に掛けてくれた言葉も、先生の表情があまりにも真剣過ぎて、逆に笑いが込み上げて来て、緩い返事しかできなかった。
「はぁい」
私、頑張ってくるから!
先生が応援してくれるから、大丈夫!
私は、先生のお陰で平常心で試験を受けることができた。

