スタートライン~私と先生と彼~【完結】



******

センター試験当日、寒さに震えながら、隣のクラスの杏子(キョウコ)と一緒に会場まで行った。

というのも、理香も奈緒も進路が決まっているから、センター試験を受けるのは私だけ。


会場にいたのは・・・数人の先生たち。


その中で一番に目に入ったのは、もちろん斎藤先生。


先生は寒さに身を縮めながらも、いつもの笑顔で立っていた。

話し掛けたのは私ではなく杏子。私は話し掛ける勇気がでなかった。


「先生、おはようございます」


杏子が普通に話し掛けているのが羨ましく思いながら、私は隣で黙って、先生の表情を見ていた。

「おはよう。早いな」

爽やかに挨拶をする先生は、私にも視線を向けてくれた。

ただそれだけで、体の中心から熱くなってくるのがわかる。


「先生も早いですね」

「お前ら俺が教師って忘れてないか?」

「忘れてた」

杏子の生意気な口にも、笑顔を絶やさずに返してくれたことによって、私の緊張はほぐれた。

「お前らな!」

先生と私たちの笑い声は、寒い寒い冬の空に吸い込まれていった。


先生、ありがとう。

「お前ら頑張って来いよ!」

最後に掛けてくれた言葉も、先生の表情があまりにも真剣過ぎて、逆に笑いが込み上げて来て、緩い返事しかできなかった。


「はぁい」

私、頑張ってくるから!

先生が応援してくれるから、大丈夫!


私は、先生のお陰で平常心で試験を受けることができた。