がたんごとん…。
あたしは電車に揺られながら眠さに耐えていた。
あたしの名前は黒川優菜。
高校2年生。
あだ名は…ない。
人見知りが激しく、そのせいか友達がほんとに少ない。
クラス替えをしてまだ間もないのと前のクラスの仲良い子と離れてしまったせいかいつも1人になってしまう。
だからみんな"黒川さん"と距離を置いた呼び方をしている。
あ、1人いた。
あたしを"クロ"って呼ぶ人を。
あたしはぼんやりと昨日のことを思い出していた。
昨日あたしは犬を見つけた。
正確に言えば犬みたいな人間を見つけた。
バイトが長引いて更にバイト先の人と話しこんで12時を回って急いで帰ろうとしていた。
ちなみにバイトは最近始めて、地元のカフェでやっている。
ここらへん治安悪いんだよな〜早く帰ろう。
繁華街を通った時に変な叫び声が聞こえた。
"あー!!"
え?何?
居酒屋から少し離れたベンチに影が見えた。
何?犬?
「犬なわけないか…叫び声聞こえたし。」
ほんとは近づきたくないけど辺りを見渡すと誰もいなかった。
しょうがない…いくか。
恐る恐る近づいた。