もう拉致が明かないと思った俺は沙奈の手を振り払って部屋を出た。
もう4月なのに肌寒く薄着で来たことに後悔した。
あー今日は何しようかな…。
"ブーブーブー"
ちょうどタイミングよく俺のケータイが鳴った。
誰だよ〜こんな時に。
俺は友達は多い方だと自分でも自覚している。
まぁ、やっぱ人を惹きつけるものがあるのかなぁ〜…なーんてことは言わないけどね。
電話の相手を確認すると昔からの仲の良い浩太(こうた)だった。
ピ。
『もしもし〜?なんだよ。』
"お〜!出た出た!!どーう?彼女と楽しんでるー?"
…こいつ初めから地雷踏んできたな。
今その話すんなよ。
そんな俺のイライラをよそに浩太は上機嫌そうにペラペラ話し始める。
"あんな綺麗な彼女いてうらやましいわ。俺にも紹介してくれよ〜"
『…俺別れたし。お前とおんなじで非リア充ってやつだわ。…まぁ童貞野郎ではないが。』
俺が淡々と言ったら電話の奥で凍りついてるのがわかった。
"…え?別れたのか?てか最後のいらなくね?童貞野郎は余計だわ!"
浩太が必死に言ってるのがなんか笑えてきた。
どーせ裏切られんのにな。

