〜新 回想〜
『あ、あの〜俺昨日何かやらかしましたか?』
記憶がないからしょうがないので直接女の子に聞いたらあり得ないって顔で見てきた。
やっぱまずいことしちゃったかな…
と猛反省していたのに。
「あはは!!」
高らかに笑っていた。
な、なんで笑っているのだろう…。
「やりちんくん面白すぎ!あははっ!」
無邪気に笑う彼女を見て俺はドキっとした。
とっても笑顔が似合うな。
だからこそこの可愛い口から"やりちん"なんて汚い言葉なんて出してほしくなかった。
『あ、あの〜ちょっと"やりちん"って呼ぶのはやめていただきたいな、と。』
俺がそう言うとはぁ?と眉間を寄せて見てきた。
「はぁ?あなたが"やりちんくん"って呼べって言ったんだけど。」
は、はい?俺が?
目力が強いだけあって睨まれるとすげー怖い。
「やりちんくん昨日のこと覚えてないから教えてあげるよ。」
そう言って女の子は昨日のことを話始めた。
「昨日あたしが道歩いてたら
"あー!"っていう叫び声が聞こえて近づいたらあなたがいたんだよ。あたし見て
"黒猫だ〜おいで〜クロちゃーん"
とか言いながら近づいてきてあたしに抱きついて『えぇーー?!』…なにか?」
びっくりし過ぎて叫んでしまった。
俺が抱きつく…。
有り得ない。
でもどんなに酔っ払っても意識を飛ばしたことないから何も言えない。
「…クスッ。百面相してて面白い。それであたしがお兄さん大丈夫ですか?って聞いたら
"俺はおにぃさんじゃねぇ!やりちんくんと呼べ!どーせみんなそう思ってるんだろー"
とかなんとか言ってあたしの手を取って近くのホテルに連れ込まれた。」
俺が誘ったのかよ!
しかも連れ込まれた?!
同意のもとじゃないのかよ。
『そ、そんなの嘘だろ!』
「はぁ?」
やばい…この子確実にキレてる…焦
「昨日のこと一つも覚えてないくせによく言うよ。」
『ぐっ…』
確かに俺は何も覚えてない。