某会社の会社員 24歳
津田聖司。俺には妻がいる。
彼女の名は、夏奈子。

6月17日の午後3時過ぎ…
俺は得意先を回り、契約取引の最中でのことだった。会談も上手く行きまさに会社に帰る途中でのこと……。俺の携帯が鳴る。

｢ん？ 夏奈子からか……。どうしたの？俺まだ仕事中ーー｣





『死んだ……死んじゃった……』



いつものような明るい声ではなかった。いつもより震えた声で、雨が降る豪雨の音で彼女の声が掻き消されてしまいそうなほどとても小さい声だった……。
俺にはすぐにわかった……。
彼女の声が……全てを語っていた。

｢えっ……｣


俺の口から漏れたのはその一言…。
そして途端に嫌な予感が頭をよぎる。