20××年 6月17日 雨





私は電話をかける……。
雨の中、顔も髪も服も……びしょ濡れだった。世界から色が消えていた。


「どうしたの? まだ仕事ーー」

「死んだ……死んじゃった……」

「えっ……」




私はそれだけ呟いて携帯を握り締める。もう何も分からなくなっていた。自分が何処に居るのかも、自分が何をしようとしているのかも……名前も……。



「夏奈子! 何処に居るんだ!! 場所を言うんだ、すぐ行くから……。だから、だから変なことを考えるのはヤメろ……夏奈子、返事をしろ、夏奈子!!!」



私はそのまま携帯を落とした。夫の声、それが責めているように聞こえた。私は近所で悪者になる。子供を殺したんだ、私は私の中で子供を殺した……全部、全部私のせいだ……







『ワタシ ガ コドモ ヲ コロシタ……』