俺が生まれたのは15番目。
中にいる翔子はとても不安定で、泣き出したり暴れたり喚いたりした。
決まって一矢が傍についているのだが、一矢も多忙。彼が隣にいられない時は、俺がついている事になった。
しかし、翔子の状態が悪ければ悪い程、俺にくるアムカの衝動は厳しくなる。
それはもう、必死に腕を押さえた。

「大丈夫?」

と、傷心している翔子に訊いたら、彼女は涙を流しながらこちらを向き

「喬恭の方が平気じゃないじゃん」

そう言ってまた泣いた。
もっと頼って欲しかった。
じゃないと、自分の存在価値が低く低く思えた。
只、うずく腕を押さえてる間、翔子は切りたくならない。
それだけが存在価値で存在理由。
彼女が切らないなら、それに越した事はない。
そう思えば、生まれた事も無駄じゃない気がした。