駆け引きナシのラブゲーム

走って校門を抜けた時。

「美沙姫やんか。何してん?」


――廉

そうだ。廉さえいなければ、咲夜がこんなになることはなかった。

廉さえいなければ…

「…み、美沙姫?」

「…廉さえいなければよかったのよ……」

「…ッえ」

「廉さえいなければ!!!親父さんさえいなければ!!!………咲夜が、おかしくなることなんて、なかった…のにぃー」


違う。
廉がいなければ、私はヤられてた。
親父さんがいなければ、咲夜は生まれてこなかった。

分かってる。
分かってるけど…

「…ッゴメン」

私は、また走りだした。