「……実は…」 私はゴクリと唾を飲む。 「昨日、猪本君家に行ってね…。インターホン、鳴らしても出なかったの。だから…」 私の手には汗が滲む。 「留守かと思って、ドア開けたら鍵は開いてて。でも……物凄い光景だったわ」 「……ど、どんな?」 「玄関には靴が散乱しててね……奥の部屋からはお母さんの泣き叫ぶ声とガラスが割れるが聞こえてきて」