駆け引きナシのラブゲーム

「美沙姫……ッ」

咲夜が私の涙を手で拭う。

「……ッ咲夜!」
その時、目に入ったもの――…

「…ぇ?…何……?その腕…」

咲夜の腕には、いくつもの注射の跡があった。
目を背けたくなるほど、痛々しいものだった。

「……も…しかして、咲夜…これ…」



「美沙姫、わりぃ……。もぅ、俺に近付くな…」

―今、なんて?

…モゥ、オレニチカヅクナ………?

「咲夜ッ…」

「「美沙姫!!!!」」

廉の連絡を聞き付けて来た柚稀、紗羅、旭君が私を呼ぶ。

「……ッ…みんなぁー…」
私はその場で泣き崩れた。

「…ッ咲夜が、咲夜が……ッ薬を…ッ」

柚稀と紗羅は、何も言わずに私を抱きしめた。