あらまあ!どうして、と来たか。・・・つって、そのままじゃね?だから、興味がないのよ。

 ガタンゴトンと電車が走る。その夜の中を縫う感じが好きで、私は窓の外へ目を向けた。それからダラダラと返す。

「今の人間世界の離婚率、知ってるの、ダン?好きあった同士が結婚したところで、結局女にとっては結婚て人の世話なわけよ。ダンナの世話に子供の世話。自分にかける時間がなくてボロボロになる人も多いの。私みたいに今まで独身で好きに生きてきた身には、そんなの耐えられそうにないのよ~」

 自分の好きな時間に寝起きして、躾ける相手もいないから怒鳴ることもない。一人でいる限り家の中ではノーストレス!全ては自己責任の素晴らしい独身時間!どうやって結婚に興味持てっていうのよ。

 私は窓の外を見ながら片手をヒラヒラ振った。

「だから興味が、ないのよ。まあ好きな男でもいれば別かもしれないけれど、私には付き合ってる男も長いこといないしね~」

 ダンがふむ、と頷いたのが判った。だけどそれで話は終わらずに、また続けて口を開く。

「男が嫌いなのか?」

「え?いや、別に嫌いではないけど。進んで世話をしたい位好きになる相手はいないわね、確かに」

 何だかダンは納得いかない顔をしている。私はヤツに向き直って聞いた。

「どうしてそんなこと気にするのよ?今の日本では、30代後半での結婚も珍しくないのよ、知らないかもしれないけど」