途端に、きゃあ、と笑い声が起こった。
「ほら、やっぱり亀山さんと小暮課長は付き合ってないんじゃない!こんな返事ってことは!ただよく一緒になるだけよ~」
「ああ良かったあ、ショック受けてたけどそんなことなかったんだ~」
「山本さんだったら、まあ、て思うけどねぇ?」
言いたい放題だな、おい。心の中でそう呟いて、ようやく到着したエレベーターから真っ先に出る。ところが一緒にぞろぞろとついてきながら、彼女達はまだお喋りを止めなかった。
「亀山さんは結婚に興味とかないんですか?仕事に精出し始めたってことは、もう諦めの極致とか?婚活なんか気になりません?ほら、年齢的にも」
「ちょっとお、言いすぎよ~」
「きゃははは、だってつい~」
ああ、うるせー。なぁーにが、だってつい、だよ。
顔は無表情のまま、私は廊下をスタスタと歩く。その時ふと考えたのだ。ダンがここにいたら、どうするかなって。
前みたいに、やつがこれを見ていたら・・・。
きっとヤツは怒るだろう。あの綺麗な顔にムスッとした表情を浮かべて、ムツミ、どうして言い返さないんだ!とか言いそう。そしてこうも言うのだろう。自分が可愛くないのか?って。自分を大切にして、侮辱されたら言い返すべきだぞ~って。
ダンなら――――――――――・・・



