カメカミ幸福論


 だけど、あれ?と、その後は一日中思う羽目になったのだった。

 私は実家でもその日一日、無駄~に光り輝く全身をもった、いらないことばかりをして掻き回す神、ダンの姿を見なかった。

 つい小暮のことをゲロッてしまった翌日になっても、テンションの高さが変わらなかった両親の相手を嫌々し、私は早々に決心した。昼食を食べると帰るってことを。決めたら即行で祖父母に挨拶をし、兄貴は無視して荷物をまとめる。

「晩ご飯までいればいいのに」

 残念そうに母親がそう言った。それは絶対、小暮の情報を気が済むまで引き出していないからに違いない。

「じゃあね、元気で」

 いつものように無愛想に、私はぼそっとそういう。

 玄関先に見送りにきていた両親が仕方ない、と頷いた。

「睦、いいから機会があったらその人一度連れていらっしゃいね。お母さん頑張って料理するから!」

「その彼は酒は飲めるんだろ、勿論?」

 ・・・くそ。何てこったい。

 私は返事をしないことにしてドアを開ける。後手にヒラヒラと振って、真夏の日差しの中を歩き出した。

 あーれー?ダンはどこにいったんだ、ほんと?

 兄貴の部屋も確認してみたのだ。だけど寝転んでアッチの世界へいっちゃってる兄貴しかいなくて、覗くな変態、という不名誉な言葉を貰っただけだった。

 キョロキョロと見回す。姿はやっぱり見えないけれど、でも観察はされてるのかな。もしかしたら、同居はしないことにしたんだろうか?

 それなら別にそれでも助かる――――――――――そう思って、私は淡々と、一人で帰宅していた。