ここまでいったら、なぜ好きになったのかも知りたいよね!?
じゃあ、さっそく。聞いてくださいよ。
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それは5年前の冬の日のこと。
私の学校は毎年学芸会をやっており、
今年は劇をした。
私は、学芸会に使う大道具係だったので、
放課後に友達と一緒に大道具を作っていた。
(正直言ってやりたくなかったんだけどね。余ってたからしょうがなくやったのさ。)
しかし・・・
「ごめん。今から塾なんだ!」
「私も習い事あるの。」
なんかやかんやあって結局、暇な私はひとりぼっちになった。
最初はひとりでも黙々と作業を続けていた。
でもだんだん寂しくなってきて、しまいには私も帰るしたくをし始めていた。
そして作りかけの大道具を片づけようとしたそのときーーー
「あっ。」
そう、私はその大道具を落として踏んでしまったのだ。
そのせいで完成に近かった作りかけの大道具はぐちゃぐちゃ。
しかも、学芸会まであとわずか。
仕方なく私は、下校時間を過ぎても作り直していた。
それから多分2時間くらいはたっていただろう。
それでも進歩のない大道具に、
わたしは苛立ちと虚しさを覚えていた。
そしてついに。
「うぅっ・・・。」
私は泣いてしまったのだ。
やっぱり自分なんかががんばってもだめなんだ・・・。
こんなことになるんだったらやるんじゃなかったな。
そう思い、手を止めようとしたその瞬間、
「もう諦めちゃうの?僕も手伝うから、ね?一緒にがんばろうよ。」
顔を上げると目の前にはそれまで縁のなかった中宮しおんがいた。
そして私の手を握っていてくれた。
そのときの手の温もりは今でも忘れないほど暖かく、
病んでいた心を明るくするくらいすてきなものだった。
