パンプスとシューズ



「なんで?」

「部活、休みたくないんです。」

「大会前だもんな、それはわかる。」

やっぱり隆誠先輩はもう大会のこと
考えてるんだなぁ。

さすがだな。

隆誠先輩は毎回県大会に出てる。

「でもな、今その足で大会にでて
いい結果でるのか?
今は走れているからいいかもしれない。
だけどお前がスランプなのは
その足のせいだ。」

「知ってたんですか?私がスランプなの」

「男テニでは有名だぞ?
二年の如月 星歌がスランプってのは。」


知らなかった…


「だから最近お前のこと見てた。
お前のミスから学べることがあるんじゃねぇかって思って。
そしたら足が思うように動かせてないように見えた。
真っ直ぐにラケットがボールに当たらないのは、足でバランスがとれてないからだ」

「そんな…」

「このま病院行かねぇと、
悪化するだけだ。それに綺麗なボールも打てないままだ。」

確かに右足は痛んでいた。

でも慣れた。

それでも先輩の言う通り、

右足が動かしにくいのは感じていた。

「病院行くんだ。な?」

「…はい。」

「ほら、帰るぞ」

先輩は私に背を向け、しゃがんだ。

乗れ、ということらしい。

「大丈夫です。歩けます」

「乗れ」

「はい、すみません。」

先輩は私をおんぶして家に送ってくれた。

先輩の家は私の家から歩いて5分ぐらいの所にあることがわかった。

「ありがとうございました。」

「いいんだよ、病院いけよ。」

「はい。」

「じゃぁな。」

心配してくれるのが嬉しかった。

でも、病院には大会が終わるまで行かない

大会で勝たなきゃ。