「レイ?」
私の呼びかけが聞こえていないのか、全く反応がない---
どうしたんだろう?
もう一度、レイの名を呼ぼうとした時だった。
愛し気にテレスさんを見つめていた魔王様の視線が、スッとシトリー達へと向かう。
今までとは一転、厳しい表情に変わった魔王様の口が開いた。
「やはりお前がテレスをさらったのか」
「い、いえ私はレイ様のお供としてここにいるだけで…」
「もう、何も言うな。城でお前の行動を見ていたのだ。…シトリーとロイドを捕らえよ」
魔王様が声高らかにそう言った瞬間、どこからともなく何十もの兵士達がやって来て二人を素早く拘束した。
シトリーもロイドも観念しているのか特に暴れもせず、魔王様を睨みつけているだけ。
「魔族の王には、このロイド様が相応しい。貴様など王には相応しくないのだ!」
いつもは飄々としているシトリーの口からは、らしくない言葉が漏れ出て驚いた。
そんなシトリーに憮然とした態度を崩す事なく王たる威厳でその言葉を受け止めた後、深い息を吐く。



