【赤い運命の人】



「あっぶねぇー。…チカ、大丈夫か?」


「……わ、わたし………、い、生きてる……の?」



震える身体は、何故か誰かに抱きこまれ私を包んでくれている。



それはとても安心する、優しい温もりだった---




先程まではもう殺されると思っていたのに、今は天国にでも来たような安心感に包まれている。




私はその人の背にギュッと腕を回した。


本当に後、もう少しで鎌の刃が目の前まで迫ってきたのだ。




もうダメだ…と思ったその時、誰かに抱え込まれそのまま地面へと転がったのは覚えている。



本当に怖かった---




絶対に殺されると思ったし、死の覚悟さえしていた。


しかし寸でのところで、今私を抱きしめている目の前の人物に私は助けられたのだ。





ん?


………あれ?



今、ここにいる人間…って言うか魔族の中で私を助けてくれそうな人って………誰、だろう?


私を包む、このガッシリとした体躯の持ち主は誰なんだ?




ガバッと顔を上げて、目の前のその人物を見た。





そこにいたのは---