人を包み込むような優しい雰囲気は、まるで母親を感じさせるテレスさんが自分の死んでしまった母親のように感じた。
さっきまで怖くて震えていた身体が、テレスさんによって少しずつ落ち着いてくる。
まるで手繰り寄せられるように、私は自然と屈み込んでテレスさんの身体を抱きしめた。
硬い骨ばった身体に、胸が痛む。
シトリーの話では、テレスさんの死の間際を待っているって言ってたっけ…。
なんて酷い人達なのだろう---
怒りが込み上げてくる。
「目的…ですか。…それはここにいるロイド様を魔王にする為ですよ」
「…そう。でも現魔王に私の屍を持って行ったところで、あの人は王を降りる事はない。無駄もいい事ね」
「さぁーて、どうですかね。実はテレス様がいなくなってからずっと、あの無慈悲と言われている魔王が貴女を必死に探しているのですよ」
「あの人が…?」
シトリーの言葉にテレスさんは目を見開き息を呑む。
テレスさんの目の前に居たシトリーは妖艶に微笑みを零しながら、腕を伸ばし牢屋越しからテレスさんの頬へと触れた。
テレスさんは、すぐにシトリーさんの手を顔を振って阻む。
手を払われた張本人はさも気にしないとばかりに、手を軽くフリフリ振ってから下ろした。



