しばらくして、病室の戸が開く音がした。


結衣かと思って顔を上げたら、そこには父親の秀男(ヒデオ)と、母親の明子(アキコ)が居た。


「愛実、大変だったわね。これ、着替えとか持ってきたわよ」


「お母さん、ありがとう。私、しばらく入院しなくちゃならないの」


「それなら、職場には連絡しておくわ」


私は頷いた。いつも通りの会話だ。これなら、大丈夫と思う。


「……あのさ、私の血液型の事なんだけど…」


そこまで言うと、両親の顔色が変わった。


嫌な予感が強まってくる。


「そのことは今は言えない。愛実は何も心配しなくていい」


言葉とは裏腹に、引きつった笑顔で父は答える。

「何もないのね?私ってお父さん、お母さんの子どもよね?」


「……!!」


お願い違うと言って!


すがるような気持ちで両親の答えを待つ。


……答えが返ってこない。