彼とほんとの私

そんな顔をされると自分が悪いことをしたみたいな気分になり、困って声をかけようとするけれども、何て言っていいか分からず視線を宙に向ける。


「俺だけを見てよ」


智史がテーブルにカップを置いて私に向き直りながら言う。


「えっ、…そんなの無理よ」


智史の言葉に戸惑いながら、智史を見て小さな声で言う。


「俺ってこんなに独占欲強かったんだな。知らなかった」


智史が目を伏せて、自嘲気味に言う。


「…愛美のことになると余裕なくなってかっこ悪いけど、俺、愛美のこと好きみたいなんだ。今ここで、俺の気持ちに応えてくれない?」


「愛美は俺のこと好き?」


智史が真剣な目をして言う。


「ここまであなたに想いを寄せられて、悪い気はしないわ。でも…それって本当に恋なの?私には大柴先輩にライバル意識を持っている様にしか見えないけど。それに、あなたには…」


「ライバル意識か…心外だな。この気持ちは、そんなのじゃない。それに俺は、あなたじゃない。智史って呼んでよ」


智史は、絞り出すような声で私の言葉を遮った。

私は、智史には優花がいるじゃない。って言おうとしたが、智史はそれを言わせてくれなかった。

「お取り込み中悪いけど、お水もらえるかな?」

大柴が、壁をノックしながら言う。