彼とほんとの私

仕事を終えると、不動産屋に寄った。いい物件が見つかって、週末に物件を下見に行くことにした。


夕食を外で終え、家に着くと、まだ智史は帰ってなかった。


『今日は遅くなるって言ってたものね…』


実家を離れて暮らすのは初めてだから、家に誰もいないと、こんなに寂しいものなんだと感じた。自分は、両親と距離を置きたいと思っていたけれど、両親に引き止めて欲しかったのも本音だ。


私、こんなので大丈夫なのかな…?


気を紛らわすために、引っ越しの荷物を片付ける。またすぐに、引っ越すのだから、最低限必要なものだけ取り出す。


『本格的に一人暮らしを始めたら必要なものがたくさんあるだろうな』


パソコンは使えないので、スマートフォンで検索してみる。


そういえば、智史の名刺に大柴法律事務所って書いてあった。今更ながら、調べてみる。


大柴法律事務所は、大柴秀樹(オオシバヒデキ)30歳と智史の2人でやっているみたいで、2人の顔写真と簡単なプロフィールが載っている。


秀樹の卒業大学は愛実と同じ大学だった。学部は違うけれど、同じ大学と言うだけで親近感を覚える。歳も同じだ。


『どんな人なんだろう』

私は、その秀樹という人に興味を覚えた。


結局、智史はその日帰って来なかった。