彼とほんとの私

「愛実は、カルボナーラが好きなんだね」


ボーイが下がると、そう問う。


「そうね。それより、その愛実って言うのやめてくれない?」


「いい響きだよ。まなみって。俺のことも智史って呼んでくれない?」


私の質問を、智史は聞いてくれない。


「だから、愛実って言うのやめて」


「やめないよ。俺は、愛実がこうやって訪ねて来てくれて、自分のことを話してくれて嬉しかったよ」


ほっとしたような表情で言う。


「あんなに自信満々だったのに?」


「自信なんて無かったよ。ただ、愛実に近づくきっかけが欲しかったんだ。だから、連絡がきたときも、とても嬉しかった。愛実が話をしてくれて、愛実をとても身近に感じた」


「それは、あなたが弁護士で、助けてくれるって言うから…」


「弁護士と言ったのも、はったりだ。けど俺は、愛実が今日話してくれたことを解決したいと思っている。でも、それは弁護士としてではない。ひとりの男としてだ」


智史の強いまなざしが私を射抜く。