「弁護士?だからなんだっていうのよ」


「人助けだよ。きみは困っているようだからね。両親とうまくいってないんだろう?」


そう言って、智史は名刺を取り出した。


何なの、この上から発言。弁護士だからって偉そうにしないでよ。まったくどちらが年上か分からないわ。


「何も話すことはないわ」


顔をそむけると、


「これに、俺の連絡先が書いてある。きっときみは俺に連絡したくなる。ああ、守秘義務は守るよ」


そして、名刺と連絡先の書いてあるメモを枕元に置いて智史は後ろを向いた。


「あなたなんかに連絡しないわ」


そうつぶやくと、智史は振り向きざまに、


「待ってるよ」


と、言うと病室を出ていった。