彼とほんとの私

「また、からかいにきたの?」


結衣の言葉を思い出しながら、ののしる。


「俺は、きみをからかった覚えはないよ」


見え透いた嘘をいう智史をにらみつけた。


「昨日、からかったじゃない。キスまでして…。彼女がちゃんと居るんでしょ!?もう、私のことを構わないで」


「忘れられないキスだった?あんな顔されたら構わずにいられなくなるよ」


あんな顔とは、昨日のキスの後の顔のことだ。しかし、彼女のことは肯定も否定もしない。


「嘘つきね」


「俺は、きみに関しては嘘はついていない。それより、昨日の話の続きをしよう」


簡単に話を逸らされてしまう。


「あなたに話すことは無いわ。私の問題は、あなたには無関係なはずよ。なんで…」


「俺には、無関係な問題じゃない。俺は弁護士だ」