「結衣、その倉田先生って、茶色のくせ毛じゃなかった?」


「そこまで、分からないけど、倉田先生は白いシャツにベージュのパンツスタイルだったよ」


間違いない。結衣の言ってる倉田先生は、弟の智史だ。恋人が居るのに、私にあんなこと言ってきたり、キスしたり…。きっと、時間潰しだったのだろう。時間切れだとか言ってたし。ただの遊びだ。ドキドキした自分がバカみたい。


同時に、胸がチクリと痛んだ。


「愛実、泣いてるの?頭が痛いの?今、ナースコールするから!」


私は、知らないうちに涙を流していた。


両親の子供でないこと。


年下の男にからかわれたこと。


今日あったいろんな出来事がうずまいて、ますます胸の痛みは強くなってくる。


そして、胸の痛みは消えることがなかった。