「愛実、食事終わった?」


結衣が顔を出す。


まだ、食べかけだった食事に目を落とし、さっきあった出来事を思い返していた。


「…なんでキスなんか」


「うん?愛実、なんて言ったの?」


「ううん、何でもない。病院の食事って味気ないなと思って」


「何か買ってこようか?」


「ありがと。でも、今日はあまり食べる気しないから、いいや」


今日は、自分が両親の子どもではないってことと、彼のキスのせいでもう食べられそうもない。


「それなら仕方ないね。それはそうと、この病室の前で、倉田先生と女の子が楽しそうに歩いて行ったの見かけちゃった。名前で呼び合っちゃって、堂々とやるものね」


それって、倉田先生じゃなくって、倉田先生の弟のこと…!?