昨日の夜、先輩から借りた本は途中で寝てしまった。
今朝は昨日の続きから …


―ポンポン

見上げれば私の頭に手をのせる先輩がいた。

「おはようございます」

「夢中だな。
いつ気づくかと思ったけど気づかなすぎだ」

「つい。これ面白いですね」

「だろ?」



そう。夢中になって読んでいた。

だから次の駅が混む駅だって気づかなかった。

グラッ


突然人の波が押し寄せてきたのでよろけてしまった。

「わっ!!」


声を発したのとほぼ同時だろうか。
先輩は両手で私の肩をもって支えてくれた。


えっ…