彼の背中に呼び掛ける。
まだそこまで遠くには行っていない。
聞こえるはずだ。
「透悟くん!!!」
力の限り叫んだ。透悟くんに私の気持ちが伝わるように。
そして。
歩みを止める透悟くん。
でも振り向かない。
透悟くん。
止まってくれるってことはさ、私にまだ少しでも気持ちが残ってるって思っていい?
だから今度は、私からあなたのもとへ走っていく。
そのまま走り、止まったままでいる透悟くんに追い付いた。
そしてそんな透悟くんと向き合う。
彼の目をしっかりと見る。
「透悟くん、聞いてほしいことがあるの」
普段運動なんてしないから、少し走っただけで息は切れ切れ。
呼吸もすごく乱れてる。
でもそんなこと気にしてる場合じゃない。
私の想いを、ちゃんと、透悟くんに伝えるの。

