愛乃がいつも何かに遅れてくる原因は大きくわけて二つあった。
一つは、屋上でのんびりお菓子を食べていること。
もう一つは、教室でのんびり寝ていること。
甘党ですぐ寝るという点に関しては俺も全く同様だった。
…が、愛乃は中学の頃はまぁそれなりに変な奴だったけど今よりはしっかりやっていた。
そんなことを振り返ってるうちに、屋上の扉へ着いた。

『ーガチャッ、ガチャッガチャッ!』

…あれ?いつもは屋上は開放してある筈だ。でも何故か鍵がかかっている。

「おーい、愛乃‼︎いんのか??」

………。

返事もないので恐らく教室にいるのだろう。
俺が、方向を変え教室へ向かおうとしたとき…

ーゴッ

背後から鈍い音がしたような気がした。…が、特に異変はない。

…気のせい、か?

一刻の猶予もないため、俺は屋上を後にして愛乃のクラスへ向かうことにした。