『いや!!来るな!!!来るなぁぁ!!』

「××けて…ね×…×す×てよ×…ぁぁ…!」

声が近い…もう一人いるようだが…
よくホラーゲームで聞くような、呻き混じりの声がする。

声のする方へと近づくと、そこには腰が抜けて身動きができない水帆と、逆光で見えない何かがいた。

『あ…愛乃ぉ…なんで…二人!?助けて!!!お願い!!ねぇぇえええ!!!』

水帆はメガネをかけてないようだ。多分そのせいで、ボヤけて2人に見えたんだと思う…。

水帆のもとへかけよると、逆光で見えない何かは大声で叫んだ。

『オマ××せ×だ‼︎××たくない‼︎』

『何か』は、喋るたびに口のあたりからゴポッという音が混じり、上手く聞き取れない。

「水帆、もう大丈夫だから。」
そう水帆に囁いた後、『何か』に近づく。
もしかしたら人ではないかもしれないのに、不思議と恐怖もなく足取りが軽い。

あたしはこの先の未来を悟って、目を瞑った。

…そして、血飛沫の臭いと水帆の叫び声で、意識を失った…。