「1階を見に行こう」
愛乃はそう言い出した。
俺は正直反対だが、こいつの好奇心はどんなやつでも止められない。ので結局全員固まって見に行くことにした。

1階へ着くと、酷く静まり返っていた。緊張感漂っているというか、時間が止まってるような、そんな感覚だ。
玄関の方へ目をやると…
「う、うぁぁ⁉︎な、なんだあれっ…‼︎」



玄関のドアに、横たわる少女が一人。
胸部が杭のようなもの?で貫かれている他、ガラス片があちこちに突き刺さっている。主に、顔…

そしてその少女の辺りには血がこびりついていた。
『な、なに、これっ……!』
水帆は立ち尽くしていたが、ワンテンポ遅れて事態を察したようだった。
裕也は、震える水帆の肩に手をやり、『大丈夫、何かの事故だよ…』と落ち着かせていた。
一方の愛乃は、少し前屈みで膝から崩れ落ちた。
心配になったので側へ寄ると、口に手を当てて苦しそうにしていた。
『う…ふ…うぅ…』
「お、おい、大丈夫か?さっさとここから離れようぜ?」
そう、立たせようとした瞬間だった。
『うふ、はっ、ははっ、あははっ』
…奇怪なリズムで突如笑い始めた。かと思うと、急に青ざめた顔になり、死体を見つめ叫んだかと思うと急に上の階へ走り出してしまった。
『あ、あぁ、愛、乃…?』
水帆は更にパニックになってしまったようだ。
俺は急いで、愛乃の後を追いかけた。