真音side



靴箱に入っていた一通のラブレターに私は驚いた。

こんな私にラブレターが?でも、考えてみればただの悪戯って事もあり得る。

私はラブレターらしき物を靴箱の中から取り出して、眺めて見た。

真っ白な封筒、少しだけ香る__む、ムスクって言うんだっけ?

あんまり私には解らないけど…。

そんな匂いがした。

ほんのりとだけね。

開けるかどうか迷ったけど、よく考えれば開けないと何か解らない。

ただこっちが一方的にラブレターと思ってるだけで、本当は親友の沙羅からかもしれない。

でも沙羅はこんな香水はつけないし…。

自分の靴箱の前で悩んでいると、背中を誰かにポンと叩かれた。

「…?誰ですか?」

振り向くと、同じクラスの高野が居た。

「邪魔だって。そこ、俺の靴箱もあるんだから」

「あっ、ごめん!」

慌てて靴箱の前から退くと、とりあえず封筒を制服のポケットにいれて、教室に向かう。

なんだか…私には開ける勇気もないみたいだと痛感する。

それに__私にラブレターなんて来た事がない。

クラスメイトの中田さんならきっと毎日もらってると思う。

でも私は、自分で言うのも変だと思わないってくらいの平凡女子だ。

特に可愛くも不細工でもない顔。

細いかな?くらいの身体つきで…。

悩みの種といえば、胸の大きさくらいかな。

う、うるさい!

これでも大きい方…。

はい、嘘はダメだよね。

唯一自慢できる事があるとすれば、他の女子よりもサラサラと自負できる黒髪くらいだ。

長さは腰まで。

蒼百合高校はかなり校則が緩いから、変に咎められる事もない。

たまに先輩に言われるし、一年の頃は二年生からこの髪のせいでイジメられた。