水商売…
マキは身体を売っているのか?



「うん。その辺で男を引っ掛けてる。
 …タケルもどう?やんない?」



「やらない」



「やっぱりね」



…あまりのマキの変わりように、驚く。



あの時は、内気な少女だったのに。



「で、今…幸せなのか?」



僕は…今は、妻も子供もいて、
そこそこ幸せに暮らしている、が…。



マキは真逆の生活を送ってる。



幸せなのかどうかを、問いたかった。



マキは、一気にビールを
喉に流し込むと、口をぬぐいながら、
躊躇いもなく言った。



「…アタシ?…アタシは、
 人生、捨てたもの。



 …自由に生きる事が、
 とっても幸せだよ!」









しばらく時間が経った。



マキが立ち上がるのに合わせて、
僕も立った。



「…じゃあな」



「じゃあねー」



再び、夜の歌舞伎町に出ると、
僕はゆっくりと歩き出す。



マキもまた、逆の道へ。



誰かにすれ違って、
その誰かと誰かの会話が一瞬 聞こえた。



「いやー、人生、
 捨てたもんじゃないですなあ」



『人生、捨てたもの』



頭の中で、マキの声が
何度も何度も繰り返し再生される。



「…間違ってる」



僕はボソッと呟いた。



何が間違っているのかは、
解らなかった。



冷たい風が、夜の歌舞伎町を抜けて、
消えていく――…。



            —完結—


意味不明な話になったかもしれません。
私がこの話の意味を理解しているのは、
作者だからです。

駆け落ちの事…それは、読者様の
想像にお任せします。
私の作品は、読者様の想像に
お任せする事が多いです。

趣味度かぁ…85%?かな…。